イタリアの精神科領域について
こんにちわ。LARGO() 職員の田中です。今回は精神科の世界的な歴史について触れていきたいと思います。
イタリアの精神科領域は、世界に先駆けて精神病院を廃止し、地域生活中心の精神保健医療システムを構築した国として知られています。その背景には、フランコ・バザーリアというカリスマ的な精神科医が率いた革命的な改革運動がありました。彼は、精神病院の惨状に衝撃を受け、患者の人権と自由を回復するために、病院内外でさまざまな実験を行いました。その結果、1978年には世界初の精神科病院廃絶法である「法律第180号(通称バザーリア法)」が制定され、イタリア全土から精神科病院が完全消滅しました。バザーリア法では、精神科病院の新設や新規入院を禁止し、予防・医療・福祉は原則として地域精神保健サービス機関で行うこととしました。また、治療は患者の自由意志のもとで行われることとしました。この法律は、それまで治安モデルに基づいて強制入院や隔離を受けていた精神障害者に市民権や社会的な地位を返還するものでした。バザーリア法の実施にあたっては、各地域でさまざまな取り組みが行われましたが、特にトリエステ県ではバザーリア自身が率いた改革が目覚ましいものでした。彼は1970年にトリエステ県立サン・ジョバンニ精神科病院の院長に就任し、そこからトリエステの改革を始めました。彼は、病院内で患者の自由や人間性を尊重するように改善し、同時に大規模な退院支援を行いました。1974年にはトリエステ県・バルコラ地区に精神保健センター(24時間オープン、年中無休)が開設され、地域社会と連携して患者の生活支援や治療を行いました。1977年にはトリエステ精神病院の閉鎖が決定されました。トリエステ県では現在も、地域社会のなかで精神障害者が生きることを支えるための多様なサービスが提供されています。例えば、住居支援では、一人暮らしや共同生活などの選択肢があります。また、就労支援では、社会協同組合や企業と連携して雇用や職業訓練を行っています。さらに、レクリエーションや文化活動などの余暇支援も充実しています。これらのサービスは、精神保健センターや精神保健チームが中心となって運営されており、精神科医や看護師、社会福祉士、心理士などの専門職だけでなく、当事者や家族、ボランティアなども参加しています。イタリアの精神科領域の歴史は、精神病院を廃止し、地域生活中心の精神保健医療システムを構築したという点で、世界に先駆けた革命的なものでした。その中心にいたバザーリアは、精神障害者の人権と自由を守るために、病院内外でさまざまな実験を行いました。彼はまた、地域社会と連携して患者の生活支援や治療を行うことで、精神障害者が社会の一員として生きることを可能にしました。彼の思想や行動は、現在のイタリアだけでなく、世界中の精神保健医療に大きな影響を与えています。
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